FACTFULNESSとは?
前々回、前回にわたって「FACTFULNESS」について要約を書いてきましたが今回が最終回になります。
「FACTFULNESS」は世界で100万部の大ベストセラーとなった1冊です。
ファクトフルネスとは、データや事実に基づき、世界を読み解く習慣のことを指します。
現在の世界は着実に良くなっているのに私たちはそのことに気づきません。
むしろ、学生時代に習った知識をそのまま持ち続けており、今の世界がどんどん悪くなっているとさえ思ってしまっています。
この本はそういった知識をアップデートするのに役立ちます。
そして世界に対する新しい見方を提唱してくれる本です。
この本を読むことで、世界の現状の知識が身に付きますので皆さんにも読んでいただきたく紹介しています。
前々回は第1章から第3章までを要約し、前回は第4章から第6章までを要約しました。
前々回の記事はこちら↓
前回の記事はこちら↓
この本の構成は以下のようになっており、今回は第7章から感想・レビューまで書いていきたいと思います。
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この本の構成
- 分断本能
「世界は分断されている」という思い込み - ネガティブ本能
「世界はどんどん悪くなっている」という思い込み - 直線本能
「世界の人口はひたすら増え続ける」という思い込み - 恐怖本能
危険でないことを、恐ろしいと考えてしまう思い込み - 過大視本能
「目の前の数字がいちばん重要だ」という思い込み - パターン化本能
「ひとつの例がすべてに当てはまる」という思い込み - 宿命本能
「すべてはあらかじめ決まっている」という思い込み - 単純化本能
「世界はひとつの切り口で理解できる」という思い込み - 犯人捜し本能
「誰かを責めれば物事は解決する」という思い込み - 焦り本能
「いますぐ手を打たないと大変なことになる」という思い込み - ファクトフルネスを実践しよう
- 分断本能
第7章:宿命本能
第7章では宿命本能について解説されています。
宿命本能とは、持って生まれた宿命によって、人や国や宗教や文化の行方は決まるという思い込みです。
例えば、「あの国の文化はこうだから発展は無理だね」というような思い込みのことを指します。
特にアフリカの国をすべてまとめてアフリカは西洋の国に絶対追いつけないという見方は、宿命本能の典型的な現れです。
また、「イスラム世界」は「キリスト教世界」と根本的に違うというのもよくある勘違いです。
しかし、社会と文化は岩のように動かないものではなく、時代と共に変わっていきます。
現在のアフリカは着実なスピードで教育、電力、水道、衛生設備を拡充しているのです。
「状況が良くなってはいるが、それでもまだ悪いじゃないか」と考える方もいるかもしれません。
確かにまだまだ貧困層はアフリカに多いです。
しかし、現状のスピードでアフリカの環境が変われば貧困層と言われるレベル1から抜け出す人が今後も多くなっていくと筆者は述べています。
また、イスラム社会も環境が変わっています。
実はイラン女性の一人当たりの子供の数はアメリカよりも少ないのです。
宗教的に避妊ができないと勝手に思い込んでしまっていましたが、実は宗教と子供の数にはそれほど関連がありません。
「あの宗教は大家族だ」という考え方は、特定の価値観や振る舞いが文化に根差していて、変わらないし変えることができないという思い込みに過ぎないとも述べられています。
宿命本能を抑えるためには、ゆっくりとした変化でも変わっていないわけではないということを意識する必要があります。
小さな変化でも変わっていないわけではないのです。
社会科学では基礎の基礎になる知識でさえすぐに賞味期限が切れるということを常に意識し、どんどん知識をアップデートしていきたいですね。
第8章:単純化本能
第8章では単純化本能について解説されています。
私たちはシンプルなものの見方に惹かれる傾向があります。
パッと思いついたシンプルな考えが他のたくさんのことにもピタリと当てはまると思い込んでしまいがちです。
このような世の中の様々な問題について、一つの原因と一つの解答を当てはめてしまうのが単純化本能です。
例えば、「平等」を阻むあらゆる要因は「格差」であるという考え方があります。
この考え方はどんな場合でも格差はよくないし、資源の再分配によって全て解決するという思い込みに繋がります。
しかし、このように一つの解にやみくもに賛成したり、どんなときでも必ず反対していると自分の見方に合わない情報から目を背けることになります。
自分の考えに合う情報しか得ることをしないので自分が間違っていると気づきにくいのです。
この他にも例えば、
- 中央政府が国民の問題の全てを解決できる
- 市場が国家の全ての問題を解決できる
という考え方も単純化本能にとらわれています。
現実は複雑怪奇なもので、単純化できるものではないと認識することが大事です。
第9章:犯人探し本能
第9章では犯人探し本能について解説されています。
何か悪いことが起きた時に、単純明快な理由を見つけたくなる傾向が犯人探し本能です。
わたしたちは犯人探し本能のせいで、個人や集団が実際よりも影響力を持っていると勘違いしてしまっています。
しかし、誰かを責めることに気持ちが向くとそこで考えることを辞めてしまい、問題解決から遠のいてしまいます。
例えば飛行機事故があったとして、その原因をパイロットのせいにしてしまうと次の事故が防げません。
問題を解決するためには、問題を引き起こしたシステムを見直す必要があるのです。
特に世の中で悪者扱いされるのが多いのは「嘘つきジャーナリスト」や「外国人」です。
メディアが歪んだ情報しか流さないと言うのは簡単ですが、メディアも悪気があってそうしているのではありません。
むしろ、メディアの世界の見方がどうして歪んでいるのか、なぜ歪んだニュースを流しているのかを理解する必要があります。
また、外国人についても同じです。
地球温暖化を引き起こしているのはインドや中国などの発展途上国なのでもっと抑えるべきだというような考えは誤っています。
人間によって蓄積されてきた二酸化炭素の大部分は現在レベル4にいる西洋諸国や日本のような国が排出してきたものだからです。
私たちは犯人探し本能にとらわれて、自分たちの責任を他人に押し付けようとしていないか確認する必要があるかもしれませんね。
第10章:焦り本能
第10章では焦り本能について解説されています。
私たちは今すぐ決めろと急かされると、批判的に考える力が失われ、拙速に行動してしまいがちです。
つまり、目の前に危機が迫っていると感じると、焦り本能のせいですぐに動きたくなってしまいます。
しかし、今じゃないとダメということはないし、チャンスは1度きりしかないわけではないと考えることも必要です。
また、焦って行動するよりもデータと客観的な分析に基づいて行動することが大切です。
ドラマチックすぎる世界が頭の中に広がると必ず危機感やプレッシャーを感じてしまうので、常に意識することが必要だと述べられています。
FACTFULNESSを読んだ感想・レビュー
私は、この本を読む前は世界の現状について勘違いをしていました。
アフリカはいつまで経っても昔のイメージのままでしたし、中国やインドが二酸化炭素をたくさん発生させているのだからもっと環境に配慮すべきだと考えていました。
しかし、この本を読んで自分の知識が全くアップデートできていないことを学べました。
この本はどんな年代の人にも読んでほしい一冊です。
特に社会人の方には是非読んでいただきたいです。
世界の現状を知ることで新鮮な知識を得ることができますし、ビジネスチャンスを発掘するのにも役立つからです。
特にアフリカがこれから有力な投資先になることも書かれていますので一読の価値があります。
まさに教養を学べる最高の本だと思いますし、世界でベストセラーになる理由がよくわかりました。
この本を読んでファクトフルネスを身につけていきましょう。