今の世界がわかる!教養が身につく名著!
突然ですが、皆さんは現在の世界の状況がどのようなものかご存知ですか?
いくつか質問を書くので答えられるか見てみてください。
- 現在、低所得国に暮らす女子の何割が、初等教育を修了するでしょうか?
A:20% B:40% C:60% - 世界の人口のうち、極度の貧困にある人の割合は、過去20年でどう変わったでしょうか?
A:今と変わらない B:半分になった C:倍増した - 世界中の1歳児の中で、なんらかの病気に対して予防接種を受けている子供はどのくらいいるでしょうか?
A:30% B:60% C:80%
これらの質問の答えがはっきりとわかる人は意外と少ないと思います。
ちなみに答えは以下の通りです。
- C:60%
- B:半分になった
- C:80%
自分の知識と相違がなかったでしょうか?
私はこの問題に正解できず、回答よりも少ない割合をイメージしていました。
実は私たちの知識は数年前に得た知識のままでアップデートできていない可能性があります。
学校に通っていた時の知識がそのまま大人になっても受け継がれているのです。
確かに少し考えれば、ここ十数年でも私たちの生活は大幅に変わりました。
先進国の私たちの生活が変わっているのに、他の地域の国の生活が変わっていないということは考えられるでしょうか?
そんなことないですよね。
今回紹介する本はこれらの世界の現状についてデータを活用してわかりやすく解説してくれています。
教養の本としてとても面白くおすすめの1冊です。
是非この本を読んで知識のアップデートを図って欲しいと思いますので紹介させていただきます。
FACTFULNESS
今回紹介する本は
FACTFULNESS
です。
皆さんはこんな先入観を持っていないでしょうか?
- 世界では戦争、暴力、自然災害が絶えずどんどん物騒になっている
- 金持ちは一層金持ちに、貧乏人は一層貧乏になっている
- 天然資源はもうすぐ尽きてしまう
これらの先入観を筆者は「ドラマチックすぎる世界の見方」としています。
実は世界は良くなっており、人類は確実に進歩しているのです。
先程のクイズで私は回答より低い割合をイメージしていましたが、これはまさに「ドラマチックすぎる世界の見方」が原因でした。
ただ、この本を読んで世界の現状を知ることができ、さらには世界の見方も変わりました。
そしてこの本を読むことで以下のメリットを得ることができました。
- 世界の本当の姿を知ることができる
- 今まで常識だと思っていた知識をアップデートできる
- 世界は良い方向に向かっていることをデータから確認できる
どんな人にもおすすめできる教養をわかりやすく深めることができる1冊だと思います。
この本の構成は以下のようになっています。
- 分断本能
「世界は分断されている」という思い込み - ネガティブ本能
「世界はどんどん悪くなっている」という思い込み - 直線本能
「世界の人口はひたすら増え続ける」という思い込み - 恐怖本能
危険でないことを、恐ろしいと考えてしまう思い込み - 過大視本能
「目の前の数字がいちばん重要だ」という思い込み - パターン化本能
「ひとつの例がすべてに当てはまる」という思い込み - 宿命本能
「すべてはあらかじめ決まっている」という思い込み - 単純化本能
「世界はひとつの切り口で理解できる」という思い込み - 犯人捜し本能
「誰かを責めれば物事は解決する」という思い込み - 焦り本能
「いますぐ手を打たないと大変なことになる」という思い込み - ファクトフルネスを実践しよう
長くなりそうなので今回は1章から3章までについて簡単な要約をまとめていきたいと思います。
第1章:分断本能
第1章では「分断本能」について書かれています。
私たちはとにかく物事を2つに分断しないと気が済まないと筆者は述べています。
例えば、「途上国」や「先進国」という言葉がありますよね。
皆さんはこれらの言葉を聞いて何をイメージしますか?
途上国=貧しい国
先進国=豊かな国
というイメージがないでしょうか。
では実際のデータを活用してみていきたいと思います。
次のデータはそれぞれの国ごとの女性一人当たりの子供の数と乳幼児生存率を示したものです。
ほとんどの国が「DEVELOPING=途上国」と「DEVELOPED=先進国」の枠に収まっているかと思います。
2つの枠の間には明らかな分断がありますね。
ちなみに円の大きさは人口を表しており、「途上国」の枠組みの中の大きな円はインドと中国です。
一方で先進国には日本をはじめ、アメリカやヨーロッパの国々が含まれています。
ここからわかることは世界は2つの枠で分けることができる!ということかと思います。
しかし、実はこれは誤りです。
なぜなら先ほどのデータは1965年のものだからです。
正しく現在(グラフ作成時は2017年)を表しているのは以下のデータです。
このデータを見てもまだ世界は2つに分断されているといえるでしょうか。
実はすでにほとんどの国で「出生率は低く、生存率は高い」ということが言えるのです。
ここからわかることは、私たちの頭の中にある「その他の国々」はとっくの昔に時代遅れになっているということです。
他にも所得や教育、医療において劇的に人類は進歩しています。
そしてこの章で特に大事なのは「分断」という言葉は誤解を生む誇張表現だということです。
所得についても貧しい人と豊かな人で分けるのではなく、4つのレベルに分けることができ、世界の大部分の人はレベル2とレベル3の中間層にいます。
そして極度の貧困層(レベル1)は少ないということが述べられています。
私たちは何事においても2つに分けて、対立させるのが好きですが、この考え方をまずはやめてデータで判断しようということが述べられています。
第2章:ネガティブ本能
第2章ではネガティブ本能について書かれています。
私たちは誰でも、物事のポジティブな面よりもネガティブな面に注目しやすいということです。
そしてこのネガティブ本能は大きな勘違いを起こします。
それは「世界はどんどん悪くなっている」という勘違いです。
確かにニュースを見ていると、戦争や温暖化、種の絶滅など悪いニュースがすぐに飛び込んできますよね。
こういったニュースばかりを見ていると世界の大半の人は「世界はどんどん悪くなっている」と感じるのも無理はないと筆者は考えています。
ただここで考えてほしいのは「世界についての暗い話はニュースになりやすいが、明るい話はニュースになりにくい」ということです。
ここで言う明るい話とは数えきれないほどの「小さな進歩」が世界中で起きているということです。
この「小さな進歩」の繰り返しが世界をどんどん良くしているのにニュースにはなりにくいので、私たちは進歩に気づきにくいのです。
例えば、過去20年の間に極度の貧困にある人の数は半減しました。
そしてこの20年は特に速いスピードで極度の貧困が減ってきているのです。
また、世界の平均寿命は2017年時点で何歳だと思いますか?
実は2017年時点で72歳になっています。
1800年時点では約30歳だったのでいかに人類が進歩をしているのかがわかるかと思います。
このように世界はどんどんいい方向に向かっています。
小さな変化は他にも起こっており、様々なデータがこの章で掲載されています。
そして章末では、ネガティブ本能に陥る原因や対策についても述べられています。
第3章:直線本能
第3章では直線本能について述べられています。
私たちはグラフを見たときに直感的に直線にして考える癖があります。
ただし、実際は直線が続くわけではないことを知っておく必要があります。
これは世界の人口についても同じことが言えます。
世界の人口は現代にかけて驚異的に伸びていることがわかりますが、このグラフの続きをどう考えますか?
このまま急角度の直線が続くと思いますか?
実は人口学者の間では未来の世界の人口は以下のようになると予想されています。
2100年までに増加し続けることは確かですが、傾きが緩やかになっていることもわかるかと思います。
ではなぜ傾きが緩くなるのでしょうか。
これは女性の一人当たりの子供の数が減少しているからです。
極度の貧困を抜け出した数十億の人々は、働き手である子供をたくさん作る必要がなくなりました。
私たちはアフリカの人々は子供をたくさんつくると思いがちですが、現在はそんなことはありません。
これまで述べてきたように極度の貧困層にいた人々の多くは現在レベル2から3にいます。
そのため、私たちがイメージするほど悪い生活ではなく、子供を以前よりたくさんつくっていません。
むしろ子供にいい教育を受けさせたいと考えるようになっています。
こうした流れから人口爆発は今後緩やかになっていくのです。
直線本能を抑えるためには、すべてのグラフが直線にならないことを知っておく必要があると章末で述べられています。
今回は1章から3章まで要約してみましたが、新たな発見があったらうれしいです。
次回もFACTFULNESSについて要約を書いていきたいと思います。